読書感想文


ハヤタとして、父として
黒部進著
扶桑社
1998年10月30日第1刷
定価1238円

 「ウルトラマン」のハヤタ役であった著者による回想録。
 前半は俳優になるまでの生い立ちと「ウルトラマン」撮影時の思い出や科学特捜隊のメンバーとの交流等が書かれ、後半は家族とともに出かけた3回のアフリカサファリ旅行から得た著者独自の家族論である。
 巻末の実娘である女優、吉本多香美(「ウルトラマンティガ」レナ隊員役)との対談でもその話が出てくる。どうも著者が書きたかったのはその「父として」の方らしい。語り口の熱の入り方が違うのだ。
 「ウルトラマン」のファンとして読むと少々肩すかしを食らうかもしれない。期待したほどの裏話はなく、対談でも「時代が変わり技術面は進んでも円谷プロの番組づくりの基本は変わってない」というようなことがわかるだけだ。
 「ウルトラマン」を離れて黒部・吉本父娘の物語として読むとなかなか興味深い本ではある。

(1998年10月23日読了)


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