自分の住んでいる町を西部劇の舞台にしてしまうというまあなんというかすごい話である。
明石市大久保町を知っていたらもっと面白いのかも知らないけれど、知らない私にも面白く読めた。この語り口は漫談風で、ボケたりツッコミを入れたりしながらあれよあれよと話が進む。
主人公は父がかつてこの町で英雄であったというだけで町の人たちから期待され、自分は何もしてないのに気がついたら無法者と対決することになってしまったりするのだ。ここらあたり、喜劇の定石でありますね。そうか、これは舞台コメディなのだ。類型的な役回りの人物を戯画化し、その設定で笑いをとる。また、次々と起こるハプニングが笑いを呼ぶ。
吉本興業で台本を書いていたという経歴からくるものかもしれないが、書き割りのような舞台で登場人物を自在に操る。まっとうなコメディを満喫できた。
ほんまに笑わせてもらいました。なんで私は今までこの本を読んでなかったんやろ。このままずっと読んでなかったら損をしていたところだ。よかったよかった。
(1998年10月24日読了)