整体師、蘭城とその助手、猫馬の活躍するシリーズの第2弾。
蛾氷女家に招かれた二人は、古来より伝わるミイラのツボを突いてその体を割り、中に埋め込まれていた美女を出現させる。その美女、しおねは海中より金を取り出す古代の技術を探るカギを握っているのだ。
それを狙う企業家や用心棒たちが登場。中でも黒人のゴルベは、猫馬と同じジルカの秘宝を操る強敵。古代の技術をめぐり激しい殺戮が始まる。
整体や指圧で相手を倒したりするというところが目新しかった前巻に対し、今回は激しいアクションの応酬。しかも前巻では無口で女性にもあまり興味を示さなかった猫馬が、作者のあとがきにもあるとおり、よく喋る上にジゴロタイプに変わってしまった。これではこれまでの菊地作品と大して変わらないではないか。ちょっと残念。
海水から金を取り出す秘術のからくりとか、その技術を守る「生きた闇」などの秀逸なアイデアもただの小道具でしかない。もう少しそれらの正体に関する謎解きなどもしてほしかった。そうすればかなりの傑作になったかもしれないのに、もったいないことだ。
(1998年11月3日読了)