読書感想文


黄金狂騒曲!
ハルマゲドンバスターズ
嬉野秋彦著
集英社スーパーファンタジー文庫
1998年9月10日第1刷
定価514円

 新シリーズの開幕。
 リストラされた中年男の前に現れた謎の牧師、ドルンハイムは男に全てのものを金に変えてしまう悪魔ザガンを召喚させる。召喚が中途半端に終わったためにザガンは男に憑依し、次々と殺戮を繰り返す。
 拝み屋ゼンと相棒の美少女幽霊サクラは、安倍晴明の血を引く土御門かがりの依頼でザガンの正体をつきとめるべく行動する。
 甘いものばかり食べているゼンや、ゼンの先祖で陰陽道をゼンに叩き込んだサクラというコンビはなかなか面白いキャラクターである。仇敵となるであろうドルンハイムはゼンの力だけではちょっと倒すのに手こずりそうなので、シリーズが続くとそのあたりでいろいろと楽しい話が出てきそうだな。
 文体が「チキチキ美少女神仙伝」以来すっかり軽薄になってしまった作者だが、内容はデビュー当時を思わせるしっかりとした骨格のものなので、今後の展開にも期待ができる。ただ、キャラクターの深みという点ではちょっと物足りない。サクラなんか200年も幽霊として現世を見続けてきたのだから、いくら若いままの姿であるといっても、なんとなくその年輪がにじみ出てきてもおかしくないと思うのだ。
 ともかく、キャラクターだけの小説にいきかけていた作者がストーリーをともなった作品に戻ってきたという感じなので、私はそれだけでも嬉しいぞ。

(1998年11月3日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る