無類のクラシックファンである著者の、音楽に関する文章を集めたエッセイ集。音楽会のパンフレットあり、CDのライナーノートあり、雑誌のコラムありとバラエティに富んでいる。
もともとスポーツライターである著者だけに、野球の監督と指揮者を比較した文章など他の音楽エッセイにはみられないもので、なかなか面白い。
クラシックファンにありがちな偏狭な視野はなく、特定の演奏家をけなすような何か勘違いしたような文章も見られないのは好感の持てるところだ。
タイトルはレナード・バーンスタインの曲からもってきている。その通り、大のバーンスタインファンである。そこらへん、私と共通しているのでよけいに楽しく読めたのかもしれない。
音楽について文章で表現するというのはなかなか難しいことだと思うのだが、本書は深い知識と「歌」への愛情、そして鋭い洞察力に軽妙な文章で、音楽の魅力をうまく伝えている。
(1998年11月8日読了)