高校を舞台に、少女たちの消失事件が起こる。「ブギーポップ」と呼ばれる謎の人物が姿を現す。少女たちの持っていた謎の麻薬。わざと停学になって事件を探る女生徒、霧間凪。平凡な女生徒、宮下藤花の体を借りて現れる「ブギーポップ」は、何かから学校を守ろうとしている。
５つの章ごとに物語の語り手や主格を変え、それぞれの視点から「ブギーポップ」がそして少女たちを喰らう「マンティコア」が語られ、最終章に収斂していく。その構成のうまさは新人離れしている。ストーリー自体は単純でわかりやすいものだが、その構成と、そして登場人物の謎の部分を最後まで明らかにしないことにより、奥行きをもたせている。
現代の高校生の少し醒めた感性にうったえるようなドラマづくりというべきだろうか。ただ、その感性にうったえる部分がコアとなっている分だけストーリーが幾分弱いようにも感じられた。
なんにせよ、読ませる力を持つ作家だけに今後どのように成長していくかがみものだろう。
（１９９８年１２月３０日読了）
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