広島東洋カープ、横浜大洋ホエールズ、オリックスブルーウェーブ、日本ハムファイターズで活躍した名スカウト、木庭教のスカウト人生をたどったノンフィクション。
木庭のスカウトしたした選手から、大成した者、花を咲かせることなく終った者、それぞれのプロ生活と現在までをきめ細かに取材する。そこで語られる木庭像は、人としての大きさ、そしてプロの持つ厳しさを示す。
木庭がスカウトとして所属したチームはいずれも選手獲得に使う金が限られている。いかに安くで優れた選手を見い出すか。それはスカウトの実力を試される場であり、そこで鍛えられてきた木庭の足跡をたどることで、プロと呼ばれるはどういうことなのかを考えさせられた。
数ある野球ノンフィクションの中でも出色の作品ではないかと思う。著者が知らず知らずのうちに木庭と同じ視点でアマチュアの選手を見るようになっていくのも興味深い。そこまで取材対象に入り込みながら、なおかつ客観的な視点も忘れない。だからこそ本書は優れたノンフィクション作品なのだといえるだろう。
読売ジャイアンツのスカウトになってみたくはないかときかれた木庭は、やりがいがないと答えている。せっかく見い出した選手に一軍でのチャンスを与えない球団でスカウトをやるのは面白くないだろうという。そこにスカウトの自負というものを感じさせた。
(1999年1月6日読了)