書店長の話をもとに、編集者である著者が、その人に成り代わって自分のことであるかのように書いた著者曰く「イタコ・エッセイ」。
ここで扱われる書店は大手チェーンの書店。それだけに、個人営業の書店について書かれたエッセイとは違う苦労があることがわかる。書かれている内容は「本の雑誌」の記事などでもお馴染みなものもあるが、取次との関係や本社との関係などあまり知られてないこともけっこうあって面白く読めた。
タイトルの「ただいまこの本品切れです」は、書店員がお客さんに言いたくないけれどもどうしても言わざるを得ないセリフの代表的なもの。書店の苦労がこのタイトルに集約されてる感じだ。もっとも、読みやすいタッチで書かれており、苦労を強調した本にはなってはいない。
(1999年1月19日読了)