読書感想文


科学とオカルト
池田清彦著
PHP新書
1999年1月6日第1刷
定価657円

 「科学」は、錬金術などのオカルト的なものが、客観性と再現可能性という2つの公共性を得て社会に認知されたものである。ということを前提にして、例えば「進化」あるいは「人の行動」など1回性のものは科学ではもともと扱えないものなのだと喝破。「科学」は因果関係を明らかにするものではなく、対応するものを示すことしかできないのだとする。だから、絶対的な真理は科学では示すことはできないと、「科学」の限界を指摘する。
 「科学」が因果を解明し真理を明らかにするものだと誤解した人々が、平準化していく社会の中で「かけがえのない私」を見つけだすために「科学」に絶望し「オカルト」を指向するのだという。
 気持ちよいぐらいに「科学」と「オカルト」の関係を説明している。現代から未来に至るまで、「オカルト」が絶えることはないであろうと、著者は説く。現在「オカルト」だけがもたらしてくれる事柄を将来「科学」が解明したとしても、新たに「オカルト」の種は生まれてくるものだ、と。それは「科学」というものに対する誤解がある限り続いていくのだ。
 刺激的で興味深い論考である。

(1999年1月21日読了)


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