港の開発事業をすすめる町の有力者たちの前に、次々と怪しげな事件が発生。港に漂着してくる古道具とそれを集める老人。行方不明になった女子大生と彼女を探す恋人。霧の中から現れる怪物たち。いろいろな要素を小出しにして読者に投げかけてくる。「くららさま」というその土地での「こっくりさん」の異称がキーワードとなり、謎は一気にラストに向かって収斂されていく。
スプラッタの味つけもあるが、それよりも得体の知れないものへの気味悪さや常軌を逸した存在の恐ろしさが効果的。特にラストシーンはホラー小説の醍醐味を味あわせてくれる。
短編の名手によるホラー長篇の秀作である。
(1999年1月23日読了)