禁酒法下のシカゴで、ビール密売組織の会計士ギルバートとウイスキーの運び屋をしていて警察に追われている流れ者のガンマンのジョバンニとそしてギャングの父が行方不明になったのを機に家業を堅気にたてなおそうとしている拳法の達人フランシスの3人が織りなす痛快アクション。
ギルバートはギャンブルで組織の金を使い込み、ジョバンニは用心棒の売り込みに失敗して文無し、フランシスは父が多額の借金を抱えて帰り……。金の欲しい3人を結びつけたのは、謎の中国人リーが持ちかけてきた密造酒の製造と売りさばき。ギルバートが組織のルートを流用して密売は成功したかに見えたが、組織のボス、デイルの情婦アーネスが差し向けた正体不明の殺し屋、シングル・ショットに狙われ彼らは絶体絶命に。
リーの作る神仙酒に秘められた力、シングル・ショットの正体、アーネスの隠された魔力などいろいろなアイデアを盛り込み、飽きさせない展開になっている。
孤独な者たちがその寂しさを埋めるためにあがき半ばやけっぱちでとる行動がコメディ・タッチで描かれている。そうしたテーマがうまくストーリーと噛み合っているのではないか。
神仙酒の秘密はなかなか面白いアイデアではあるがいささか説得力にかける。それから文体もアニメの台本みたいでそこらあたり、私にはひっかかる部分ではある。それでもキャラクターの多彩さやしっかりしたストーリー展開など、新人のデビュー長篇としては評価できるのではないか。ラストシーンは後味がよく、古きよきハリウッド映画みたいだ。
(1999年1月27日読了)