プロ野球の讀賣ジャイアンツからトレードやフリーエージェントで他のチームに移った選手たち−小林繁、駒田徳広、香田勲男、石毛博史、吉岡雄二、大森剛−を取材、本人の告白というような形で構成したノンフィクション。
元ジャイアンツのプライド、プロ意識など、6人6様の生き方、考え方が語られる。ジャイアンツで実績を残した者は、トレード先で古巣を見返そうという意欲が、そして、実績を残せなかった者はそこを最後の働き場所としようという意欲が、彼らをトレード先で成功させる。逆に、ジャイアンツで不完全燃焼だった者、プライドを捨てきれない者はトレード先でなかなか結果を出せていない。
本書の特徴は、小林繁を除いてほとんどがまだ現役でプレーしているというところにある。小林もまた、コーチとして現役時代とは違うチームのユニフォームを着ている。だから、運命論的な書き方にはなっていないし、選手たちの思いも生々しく伝わってくる。本人の告白という形がそれをより強めている。
プライドというものについて考えさせられる本である。
(1999年2月1日読了)