「週間宝石」連載の新刊時評をまとめたもの。世にトンデモの種はつきまじ、か。とりあげられている本は、「作者の意図と違う読み方」をして笑い飛ばすという本来のトンデモ本。トンデモ本を批判する意図で書かれた本。トンデモ本ではないがトンデモ本のファンなら楽しめる本。だいたいこの3種に分けられる。
週刊誌連載ということもあり、これまでのと学会の本とは少々ニュアンスが違う部分もあるということか。
藤倉珊は本来の「トンデモ本」を楽しむような感じで書いているし、唐沢俊一や植木不等式もしかり。間違い探し的に本をとりあげているのは志水一夫。もともとそういう本を書いてきた人だから当然だ。しかし、山本弘まで間違い探しの傾向が強くなっているのは残念。「トンデモ本」批判という感じが強くなっていて、笑い飛ばすよりも悲憤慷慨しているように感じてしまった。
なにかごく少数を除いて、文体や切り口が非常に似通ってきている。マンネリも芸のうち、ではあるが、もう少し書き手の個性がはっきり出ていてもいいのでは。「トンデモ本」が社会に定着するに従って、切り口もパターン化されてきたということなのか。
(1999年2月22日読了)