読書感想文


こうもり城にようこそ!
甲斐甲賀著
小学館スーパークエスト文庫
1999年2月1日第1刷
定価562円

 気の弱い美少年、綾人が、高校の映画研究部の借金返済のために、アメリカに行って古城で懸賞金つきの肝試しをすることになる。ところが、出迎えの者に間違えられてついた城の跡継ぎにされてしまう。死んだはずの当主が生き返り、地元の天才少女を誘拐。綾人は頼りない婦人警官たちと人質奪回作戦に加わる。
 ホラーの小道具を使ってどたばたをくりひろげるという趣向の話。プロローグは軽妙な会話が非常に面白く、かなり期待したのだが、主人公がアメリカ行きの飛行機に乗ってからはとにかく変なキャラクターを出してそいつらを暴れさせればいいだろうといった感じの話になってしまった。ギャグ漫画を言葉で説明したようなといえばいいのか。
 主人公の性格がなんだか途中で変わってしまったり、ストーリーが破綻してしまったりするきらいがある。だいたいなんでアメリカに古城があって貴族が住んでたりするのだ。ギャグでやってるわけでもないみたいだし。やはりここは舞台はヨーロッパでしょう。それに、旅行するのも主人公一人ではなくプロローグでいい味をだしてた映画研究部のメンバーを同行させて珍道中させた方がよかったと思う。プロローグと本編の落差の激しさに面食らってしまった。

(1999年3月14日読了)


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