関西の場合、タイガースファンであることがウリになる芸人、タレントは多い。しかし、関東のタレントでそれを表明してもセールスポイントにはならないことが多い。それでもタイガースファンであることを隠すことなく徹底してる数少ないタレントがいることも確かだ。
ダンカンはそんなタレントの一人で、本書では著者がいかにしてタイガースファンになったかという来歴、子どもの頃からどれだけタイガースの勝利を祈ってアホなことをしてきたかをつづる。そしてそれは同時にタイガースの個性豊かな選手たちの紹介にもなり、なおかつその魅力を語ってもいる。構成作家として、映画の脚本家としても活躍している著者ならではの考え抜かれた構成といっていいだろう。
だから、これは単なるタレント本でもないしファンがただただ思い入れを垂れ流しているだけのものでもない。「関東におけるタイガースファンの生態」を芸として昇華しているといっても過言ではない。タイガースへの愛情が、冷静な分析が、端々にうかがえる。そういう意味では数あるタイガース本の中でも本書はかなり異色の存在だといえるのではないだろうか。
ああ、東西問わず、タイガースファンはほんまにタイガースファンなんやなあ。
(1999年4月17日読了)