読書感想文


フリーダムズ・ランディング−到着−
アン・マキャフリイ著
公手成幸訳
ハヤカワ文庫SF
1998年11月31日第1刷
定価900円

 地球にやってきた優れた科学力を持つ異星からきたキャテン人は、地球人を大量にさらい、母星に連れて帰り奴隷としてこき使い、反逆したものは植民星に送り込んでその星を開拓させる。入植がうまくいったころを見計らってキャテン人のリーダーがやってきてその星を支配するという段取りだ。
 米国デンバー州で捕獲された女子大生クリスもまた、そうやって植民星に放擲された一人。彼女は偶然助けたキャテン人ザイナルも自分たちとともに放擲されていることを知り、リーダーのミトフォード軍曹の指揮下、ボタニーと名づけられたその星を開拓していく。やがて、クリスはザイナルを愛していることに気づく。
 調査の結果、ボタニーはキャテン人よりも優れた科学力を持つ何者かの機械化農場ではないかという確信を得る。
 どうも、物語にヤマがないので私には読みにくい一冊となってしまった。何か問題が生じてどうなるんだろうと注目していると以外にあっさりと解決してしまうということが多いのだ。また、多数の異星人が登場するけれど、文化摩擦などで軋みが起こるということもほとんどなく、実にスムーズに植民が進んでいく。
 ボタニーの本来の支配者〈ファーマーズ〉の正体や、地球人たちとキャテン人たちの戦いなどは次巻以降ということになるのだろう。
 とにかくひたすら未知の土地を調査し開拓していく過程が描かれていくが、実はまるまる1冊使って舞台設定を説明しているだけという印象が残ってしまった。その分、私には読むのがけっこうきつかった。次巻以降はちゃんと話が大きく動いてくれることを願いたいものだ。

(1999年5月16日読了)


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