1500年来の〈掟〉に守られ、今や無法地帯と化した「学校」という空間。〈番長〉のもと奇怪な能力を持つ〈五凶星〉と呼ばれる学生たちに支配される神泉学園高校。教師の仁科樹は学園の秩序を取り戻すために〈移動生徒会〉とよばれる4名のこれまた特殊な能力を持つ学生たちを転校させ、番長組織と対決させる。生徒会長たちと〈五凶星〉の凄まじい戦いが繰り広げられる。そして、ベールに隠された〈番長〉がついに現れ、〈掟〉をめぐる最後の対決に……。〈掟〉が書き換えられたとき、世界はどうなるのか。
トラブルを収めるために、依頼に応じて様々な並行世界を移動してくる〈移動生徒会〉というアイデアが秀逸。また、単に妖しい力をぶつけ合うヴァイオレンス小説にとどまらないSFとしてのテーマが根底にあり、ストーリーに奥行きもある。
作者の学園ものは正義だの愛だのに流されてしまわないところがいいのだが本書でもそのポリシー(?)は貫かれている。正邪善悪を超越した戦いの面白さが本書の特徴だろう。
ところで、このヴェテラン作家にして養護教諭のことを「校医」などと書いている。学校は医療機関ではないのだから、校医は常駐していないのだ。どうして学校組織のことはちゃんと調べられないのだろうか。本当に不思議なことだ。
(1999年6月12日読了)