「正しい台風の起こし方」に続く、シリーズ第2巻。
前作同様、気象を調整する精霊たちが異常気象を相手に奮闘する。本巻では天帝に直接仕える精霊たちと天候の変化をめぐって戦うという要素を前巻に付け加えて新味を出そうとしている。しかし、大筋では前作とほとんど読後感は変わらない。前作のユニークなところは、正確な気象知識に裏打ちされたアクションというところにあったと思うのだが、シリーズにしてしまうと、それ以上のものを付け加えていかなければならない。それが敵対勢力との対決というだけでは苦しいと思う。
正直言って、作者のギャグセンスは私のそれとは相容れないのだ。けったいなキャラクターを続々と登場させて暴れさせたらそれでよいかというと、そうではない。けったいなのに巻き込まれて被害にあうまともな奴というのはやはり必要ではないだろうか。これがマンガ原作というのなら、それはそれでなんとかならなくもないだろうが、文章だけだとやはり苦しいね。
肝心なところであるストーリーがあまりに単純すぎるようにも思われる。アイデアとキャラクターによっかかりすぎてはいないだろうか。
かなりきついことを書いたけれども、前作に関しては「S−Fマガジン」誌上でかなり厳しいことを書き、それに対する批判もあった。だからこそ第2作に注目をしていたのである。それだけに第1作のレベルを超えたものを書いてほしかった、という思いが私にはあったのだ。
次作はシリーズではなく、まったく新しいものにチャレンジしてほしいと思う。
(1999年6月26日読了)