東京に育った著者が、結婚を機に京都人と同化していく様を書き綴った興味深いエッセイ。読み進めるうちに最初はよそから来た人の視点で書いてたはずのものが、最後には京都の地の人と同じ視点になってしまっているところが面白い。
むろん、京都の地の人はわざわざいかないところにどんどん足を運んで学習していく過程が書かれているというところがあるから、その面白さが際立ってくるというのは、ある。地の者にしかわからないことが、学習の結果わかったてきたという感じかな。逆にいうと、地の者はわざわざ学習せんから実はわかってないようなことも著者はわかったりしている。ここらあたりは本のタイトル通りというところやね。
そやからね、親戚が京都中にいるということがどういうことか、いうようなことは学習できひん。京都は町であり鄙であるという、ほんまにいやらしいところはまだ見えてない。そんなん見えへんでもかまへんのやけど。
著者はよほど京都の水が合うたんですやろな。その土地に惚れこまんと、これは書けへんと思います。京都以外の鄙のお方より、地の人が読んだ方が面白いのと違いますやろか。
(1999年7月4日読了)