第4回スニーカー大賞読者賞・奨励賞受賞作品。デビュー作である。
天国から悪魔たちが逃亡し、地上へ。その一人に傷つけられたために、主人公安藤真は力を悪魔に吸い取られ乗っ取られてしまうというはめに。悪魔を捜索しに来た天使エアエルとともに自分が自分である期限の7日間で悪魔たちの行方をつきとめ倒さなければならないのだ。
天使が昇任試験を受け携帯電話を持ちEメールで天国と交信するという設定のミスマッチな部分で笑いを誘おうという意図はわかる。しかし、キリスト教的な設定を取り入れているためにかえってその設定に無理が生じていて、笑いに即結びついていないように感じられる。
また、コメディタッチで始まった物語が進行とともにシリアスになっていくのもいささか辛いところだ。
この設定ならば天使や悪魔という記号を使わない方がかえってよかったかもしれない。
全体にステロタイプな部分が目につく。例えば主人公と幼なじみが会えば悪口を言い合うが、実は好きあっているというようなところなど、青春小説としては古くさい感を与える。結局どこかで読んだような話の再生産という印象を最後までぬぐいきれなかった。
小説として出版するよりも、マンガ原作で使った方がおさまりがよかったのではないかと思う。
(1999年7月14日読了)