第3回角川学園小説大賞受賞作品。デビュー作である。
スペースコロニーの、士官学校進学コースに通う高校生たちの学園生活をコミカルに描く。学級委員長の千夏は急遽学校所属の駆逐艦の艦長になって、落ちこぼれや超エリートのまざった同級生たちをまとめ、入学試験にあたる模擬戦闘に臨まねばならない。
ラブ・ストーリーあり、戦闘シーンありと、次々と読者をストーリーに引きつけていく手腕は手堅く、評価できる。青春小説の王道パターンに宇宙アニメ的な設定をうまく乗せているのだ。
しかし、主人公が女の子でなくても、また宇宙戦艦でなく他のスポーツであっても、このストーリーは成立し得るだろう。そういう意味では、SFとしての面白さを本書に求めることはできない。まさに「学園小説」なのである。
小説として出版するよりも、アニメ原作で使った方がおさまりがよかったのではないかと思う。
(1999年7月15日読了)