クラシック音楽に関する皮肉たっぷりのコラム集。むろんA・ビアスの「悪魔の辞典」を模してつけられたタイトルである。
音楽用語から作曲家、現役のアーティストにレコード会社にジャーナリズムとクラシック音楽に関わるあらゆるジャンルを俎上にあげ、痛烈にやっつける。むろん、この手の書物は書き手がその対象についてくわしい知識を持ち深く理解をしすぐれた文章のセンスと表現力を持っていなければならない。その点で本書はかなりレベルが高く、クラシックおたくは必ずにやりと笑い、爆笑にいたること間違いない。
帯には「クラシックなんて知らなくても、これを読めばクラシックが100倍楽しくなる!」という惹句がついているが、それはどうかな。クラシックのおたく度が高くないと書かれている皮肉はわからんと思う。そういう意味では、本書はクラシックのおたく度を計る絶好の物差しになるのではないかな。
(1999年8月3日読了)