空中に突如指が現れ、その目の前にいるものの悪心通りに動き、次々と災害が起こる。指の数は次々に増え、ついには無差別に悪事を働く。東京の機能は壊滅状態に陥り、ついには日本、そして世界を巻き込もうとする。
リストラされ休職中の上村、その友人で新聞記者の旭たちは数少ないヒントから指を操る存在を突きとめ、追い込んでいくが……。
指の行動がどんどんとエスカレートしていくそのスピード感、最初は無関係に見えた人物たちが次々とひとつの糸につながっていくところなど、非常に面白く、一気に読ませる。ぐいぐいと読み手を引きつけるパワーがある作品である。
しかし、謎が解決されていく上で、少々無理な展開になってしまうのが惜しい。マッドな指コレクターが死者の怨念を利用して、というところでとどめておいてもよかったと思うのだが……。
(1999年8月22日読了)