単なる「タイガー本」ではない。大阪、関西の中でのタイガースの位置をとらえなおし、タイガースという存在が現代の日本文化においてどのような意味を持つかを明確に語る。タイガースファン気質と大阪人気質の分析、タイガースファンはなぜ勝つと六甲颪を歌いたがるのか、甲子園球場と関西の社会の関係など、ユニークな切り口でタイガースという現象を定義づけているのである。
他にも、吉田前監督が京都人から大阪人に変化したためにファンの支持を得た、野村監督はその合理的な発想ゆえに丹後生まれの大阪人である、など、「大阪学」の見地から導き出される結論には首肯すべき点が多い。
とはいえ、「学」と書かれてはいるが理路整然でないところや強引に「タイガースがんばれ」という結論にもっていってしまうところなど、やっぱりファンの書いた本であるなあという感じがするけれどね。
大阪のタイガースファンの心理を理解できない人にお勧めしたい。
(1999年8月24日読了)