読書感想文


スプラッタ・ボーイ 殺戮の天使・真理夜
由麻角高介著(原案・中笈木六)
辰巳出版 NEO NOVELS
1999年8月10日第1刷
定価860円

 悪魔の力を手に入れ教団の教祖となった男により、両性具有に身体を変えられたその息子、真理夜。父の教団は信者を怪物に変え、財界の大物四馬騎一郎の力を利用して勢力を拡大。それに危機感を感じた四馬は自分がかかえる暗殺者集団を使って、教祖残神承元の命を狙う。リーダーの瑠璃は、暗殺に失敗するが、そこで父と教団を壊滅させるために単身乗り込んだ真理夜と出会う。
 十八禁のアクション・ノベル。であるからして、両性具有の少年と美少女たちのSEXシーンが売り物になるべきなのだろうが、こちらはあまり読んでても興奮しませんでした。ならば、アクション部分に期待をしたいところなのだが、真理夜という主人公の設定を十分に生かし切っていないように感じた。何度傷つけられても死なない自己修復能力、両性具有であることなどの利点を生かせば、もっと手の込んだ仕掛けができたと思うのだが。教団の目的がはっきりしてないのでこれも単なる道具に過ぎないのかと思って読んでいたら、最後にその力を与えた悪魔の目的が明らかにされて、やっと仕掛けが有効に働いたというところか。
 そんな野暮な読み方はしなくてもよいか。それはまあそうなのだけれどね。

(1999年9月12日読了)


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