読書感想文


ウイルスハンター
北野安騎夫著
リイド文庫 ETシリーズ
1995年12月15日第1刷
定価485円

 ネット上で増殖していくコンピューター・ウイルス〈悪魔のウイルス〉を作り上げた兄は記憶を消された上に行方不明。妹のケイは傭兵として戦地におもむいたあと、現在は兄の作り上げたウイルスを消去する〈ウィルスハンター〉として事件の解決にあたっている。
 巨悪に利用され捨てられた兄の復讐をするようにウイルスに立ち向かうケイ。彼女の真の敵はウイルスではない。ウイルスを悪用し人間を使い捨てにしていく企業や国家などの権力なのだ。
 5本の短編で構成されているが、このあとのシリーズに登場する主要な人物は一通り登場している。コンピューターのウイルスを生理上のウイルスの活動とリンクさせたアイデアがどの短編にも使われている。それらの練り上げられ方など、実によくできている。主人公のケイ、相棒的な存在の妙空、そして敵となる人物たちのキャラクターもそれぞれの過去を匂わせながら描かれていて深みがある。また、テンポのよいストーリー展開、きちんと書き込まれたアクション部分なども小気味よい。
 残念ながら、本書は現在入手しにくい状態になっている。版元が変わってシリーズとして続編も書かれているのだから、そこから再刊されてもよいのにと思うのだが。

(1999年10月1日読了)


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