一時代を築いたザ・ドリフターズのTVバラエティ「8時だョ!全員集合」がどのような経緯をたどって開始され、いかなるピンチを切り抜け、なぜ終了したかを番組の生みの親である名プロデューサーが回顧する。
ドリフのライバルがコント55号=萩本欽一であり続けたことは本書からもうかがえるが、実はドリフは番組の企画段階では全く期待されておらず反対意見が強かったということは興味深い事実だ。なにがなんでも成功させるという執念が、ドリフをコント55号のライバルにまで押し上げていったといえる。
一時期クレイジーキャッツの「8時だョ!出発進行」という番組になったことがあったが、その事情などこれまであまり知られていなかったこともはっきり書かれていて、資料としても貴重である。芸人とスタッフの蜜月時代からすれ違いまで、かなり抑えた筆致で深く掘り下げていないように感じたりもしたが、著者にとってはそういうものは当然起こりうるものだと考えているから、記述もただ事実を述べるだけにとどまってしまったのだろうか。
気になるのは、「全員集合」に引導を渡した「オレたちひょうきん族」の横沢彪プロデューサーについては一切触れられていないこと。「ひょうきん族」についてもかんたんにしか書かれていない。あの見事に時代に乗ったプロデューサーや番組を(しかも同じ時間帯にぶつかってきた)意識しなかったはずはないのに。ここらあたりの心情を推し量るのも一興か。著者は「ひょうきん族」に負けたのではない、スタッフとドリフのすれ違いが原因なんだと思いたいのかもしれない。自分が信念を持って作ったものを否定したくないという心理なのではないかと愚考する次第。
芸能史に記録される番組に関する貴重な本が出たということを評価したい。
(1999年10月17日読了)