人気四コマ漫画家による、デビュー20周年を記念した形で出版されたエッセイ集。挿絵がわりに、デビュー直後から最近の四コマ作品を掲載している。内容は、タイトルからもわかるように、野球に関して20年間つちかってきた蘊蓄や小言が中心となっている。作者自身が「小言主義」を名乗るだけあって、口調は辛口でかつ納得のいくもの。ただ、書き下ろしエッセイであるのに、総花的に考えていることを書き散らしたというような感じの構成で、読んでいて面白くはあるもののいささか散漫な印象は禁じ得ない。そこらは四コマ漫画的といってもいいだろう。せっかくの書き下ろしなのだから、もう少し芯の通ったような構成にならなかったかと思う。
また、20周年記念というならば、これまであちこちで書いてきた未収録の文章を集めるというようなことがあってもよかったのではないだろうか。実際、四コマ雑誌にこの著者はかなりたくさんエッセイを書いているはずだ。その視点の確かさを私は信頼しているので、できれば再録してほしかった。
(1999年11月1日読了)