しばらくスポーツに関する著書を出していなかった著者が、久々に、しかも著者の決定版となるようなスポーツ論を出してくれた。
スポーツを文化としてとらえ、スポーツが発展してきた歴史を、帝国主義、ナショナリズムなどという社会学的視点をからませ、論じる。スポーツを利用している国家や企業から、市民ひとりひとりのものにとりもどしていくためにはどうすればよいのかという提言が、本書の芯としてあるのだ。五十音順に項目をあげ、それに対して深い考察を加えているが、本書ではア〜スまでしか書かれていない。著者のあとがきにあるように、まだまだ書かれていない項目は多い。これまであまりなかった巨視的なスポーツ論として、残りの項目を掲載した続刊が待たれる。
(1999年11月8日読了)