まずは上巻を読んだ時点での感想を。
個人の人格をコンピューター上にコピーする事により延命させる方法ができた未来が舞台。それでも利用できるのは一部の金持ちのみ。コピーを持つ金持ちに、世界滅亡後も生き残れると説く男、ポール・ダラムが現れる。一方、擬似世界上で進化モデルを作る遊びをしていた女性、マリアは、偶然に地力で進化をしていくプログラムを発見する。ダラムは彼女にも接触し、仮想世界でこのプログラムを走らせる研究を続けるように依頼をする。ダラムの目的は、そしてコピーが生き残れる世界とは何か。
ユニークなのは、コンピューター上に構築されたコピーの視点で世界が語られること。書き割りのような仮想世界の環境、外部(現実の世界)からアクセスしてくるオリジナルとの葛藤、コピーが自らのアイデンティティーについて苦悩する姿など。コンピューターの限界をふまえながら、次々とアイデアが繰り出されてくる。いったいぜんたいどのような展開になっていくのか、想像もつかないところにイーガンを読む面白さがあるのだなあ。
(1999年11月11日読了)