読書感想文


銀河熱風オンセンガー
山本正之著
ソニーマガジンズ文庫AXシリーズ
1999年10月30日第1刷
定価560円

 作者は「タイムボカン」シリーズの音楽で知られるシンガーソングライター。
 タイトルは、昔のテレビアニメ「銀河旋風ブライガー」「銀河烈風バクシンガー」「銀河疾風サスライガー」などJ9シリーズのもじり。では、完全なパロディかというと、そういうわけでもない。
 センタ少年がお風呂の神様から力を与えられ、病に苦しむ人々のために温泉を見つけるという設定やたわいないギャグを積み重ねる構成は往年の横田順彌ハチャハチャSFを思い起こさせる。しかし、初出が著者のファンクラブ会報であることや、内輪ネタに楽屋落ちがそのほとんどを占めているところが本書の大きな特徴である。濃い山本正之ファンでないとわからないのだ。そういった部分への作者による註はついている。しかし、その註を読んでも山本正之のアルバムや演劇を知らないとわけがわからない。
 こういった内輪のお遊びを初出から10年たってごく普通のヤングアダルト文庫として出版する意義が、私にはわからない。本書を書店で手にとりそうな読者層を考えると疑問である。

(1999年11月15日読了)


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