読書感想文


しびとの剣 戦国魔侠編
剣侠士シリーズ1

菊地秀行著
祥伝社ノン・ノベル
1999年12月10日第1刷
定価800円

 新シリーズの開幕。
 戦国時代の日本に、100年前に死んだはずの美剣士が生き返る。彼、冴月紫靡帝(さえづきしびと)は、父が蘭人僧より学んだ秘法によりその魂を保存されていたのである。しかし、目覚めたばかりの紫靡帝は新たに与えられた体と魂が同調しておらず、本能のままに殺戮を繰り返す。しかし、生前に恋仲であった女性にそっくりの百合姫を見たとたんに、彼の魂は揺り動かされ、少しずつ本来の自分に戻りはじめる。
 復活に立ち会った薬屋の金蔵や、別シリーズでおなじみのからくり師蘭剣など多彩な人物が活躍する。もともとは漫画の原作ということであるが、それとは関係なく楽しめる。現実の戦国時代に架空の存在を組み込むという作者には珍しいパターンの物語だけに、今後の展開には大いに期待できる。娯楽時代活劇の王道という感じがして楽しみだ。

(1999年12月1日読了)


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