かなりユニークな論調の日本論。現在の官僚制度の根本が律令制度に由来するという主張を、史料を駆使して裏付けていく。堅い論調の中にいきなりQ&A形式で解説をはさみこんだりしているのには面食らったけれど。読んでいてちょっとつっこみたくなったら、またうまいこと予想されるつっこみを質問にして解説するのだ。
日本はかつて中華帝国になろうとした。ただ、国を治めるよりどころとして高天原神話を用いたため、易姓革命という概念を排除していった。その結果「天皇」という枠組みが生き続けることになる。武家の治世下でも律令制度の形式は存続していたし、明治維新でもそれは利用されこそすれ、滅びることはなかったのだ。というのがだいたいの主張。法政史から見た「天皇」そして「日本」ということなのである。
その視点のユニークさで面白く読めた。日本史の大枠をつかむのには有効な方法ではないだろうか。
(1999年11月30日読了)