人気女性落語家による新聞連載のエッセイがとうとう1冊にまとまった。連載時から愛読していたんで、なんか嬉しい。
落語への愛情、日頃見かける風景をネタに笑い飛ばす、時には真剣に時事問題について論じる……。落語家らしくサゲを決めながら、肩の凝らない楽なスタイルで書かれた文章が楽しい。
メロンパンとサンライズの違いが連載中に一番反響があったテーマであるが、むろんそれだけにとどまらない。私には、かつて大好きだった現在行方不明の落語家の話題をとりあげてくれたことだけでも嬉しかった。消え方が消え方だけにあまり関係者が触れたがらない人なので。
連続殺人犯に殺されかかったこともあの大震災で実母を失ったこともしゃれのめしてしまうポジティヴな行動力には教えられることが多い。てな難しいことを言うてんと、あやめさんのおしゃべりにつっこんだりぼけたりしながら楽しく読んだらええんと違いますか。
出版されたことがきっかけになって、あやめエッセイの楽しさが全国に広まるとええなあ。
あ、それからもう一つ。中に入ってる写真が実によろしい。表情が生き生きしててほんまによろしいよ。
(2000年1月8日読了)