読書感想文


笑いの経済学
木村政雄著
集英社新書
2000年1月23日第1刷
定価640円

 著者は吉本興業の常務。以前、講演で「全国吉本化計画」の話を聞いたことがあったけど、本書はそれをもっとつっこんだ形で書いたもの。
 まず、大阪人の気質について説明し、その自由さや「笑い」をベースにした思考法で日本経済を活性化させたらどうか、という提案である。真面目な本であるが、例えなんかが極端で笑わせる息を心得ているなあと感心した。
 地方自治体との業務提携で生まれた「感動産業」という言葉がキーワード。量より質、というのをこういう言い方にしている。今後、吉本興業が大阪で発展した考え方、つまりその土地に合ったものをサービスとして提供し、東京中心の産業構造を変えていくべきだと説く。
 とにかく思い切ったことをどんどん書いてあるので反発する向きもあろうが、私としては90年代のバブル崩壊後も着実に業績を伸ばしてきた吉本興業の秘密を読み解くという点で非常に興味深く読めた。

(2000年1月20日読了)


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