第11回ファンタジア大賞準入選作品。
部隊は銀河系の恒星フォルテッシモの惑星ピアニッシモ。アルゴ帝国に支配されているこの星に住む風変わりな少女レスタンティは、ピアニッシモのレジスタンス組織から異星人ハーウィンと結婚してくれと頼まれる。このハーウィン、異種交配を繰り返して進化してきた生物で、超巨大なエイ型の異星人。レスタンティはハーウィンを気に入り、ハーウィンはレジスタンス組織に味方することに同意する。ハーウィンはアルゴ帝国の武器に対してどう立ち向かうのか。
人を食ったネーミングといい、すっとぼけた文体といい、どこか調子っぱずれの登場人物といい、なんだかほのぼのとした作風で好感が持てる。ピアニッシモやアルゴ帝国の住人はどうやら地球人の末裔らしく地球の古い文化も伝わってるらしいが、それをことさら説明せず、登場人物の会話などからそれとなく読者が察することができるようにしているところもなかなかうまい。
少女と異星人の交流、超大な力をもつ者が弱い存在に対して抱く感情など、心温まるストーリーの中になにやらペーソスがただよっている。独特のユーモア感覚が光っている。SFメルヘン、という感じがする。それもそのはず、作者は児童文学の分野で2冊の著作を持つちゃんとした童話作家であったりするのだ。こういう作風は大切にしていってほしいと思わせる、ほんわかとした珠玉の佳作である。
(2000年1月21日読了)