PS版ゲームソフトのノベライゼーション。私はゲームそのものをやってないので、どこからがゲームの設定の面白さなのかどこからが小説の面白さなのかが判別できないが、「西遊記」を独特のアレンジで再構築してあり、楽しく読めた。
女性であることを隠している三蔵法師が、観音菩薩から賜った錫杖を手に天竺へ。彼女の使命は錫杖が反応した地に降臨している神将たちを一人ずつ集め、巫女として神将をその体に取り憑かせて力を発揮し、何か企んでいる鬼神たちを倒すこと。お供にはおなじみ孫悟空、猪八戒、沙悟浄の他、竜王の娘、桜の木の精などが加わっている。
神将を集めてポイントを高め、修業してパワーを上げていく、というところはゲームらしい。そこに登場人物同士の人間(?)関係の微妙な動きが付け加わっているところに小説としての面白みが出てくる、というところだろう。
神将が次々と見つかるのは「水滸伝」や「八犬伝」を連想させる。竜王の娘は「悟空の大冒険」の竜子を想起させる。そういう意味では、いろいろな要素をうまく組み合わせたごった煮的な面白さを感じる。
しかし、オリジナルのゲームを知らないとやっぱりノベライゼーションはちゃんと批評できないな。難しいところだ。
(2000年1月28日読了)