読書感想文


龍神さまの野望、その一歩。
斉木晴子著
角川ティーンズルビー文庫
2000年2月1日第1刷
定価419円

 一人暮らしの女子高生、鹿子のもとに、太白龍神なるものが現れる。土俗信仰によって生まれた神である彼は、さびれ果てた彼の祠を世話してくれるものもないままに忘れ去られてきたのだ。龍神さまは彼の姿が見える鹿子を御使いとして、自分の存在を世間にアピールしようとする。わがままな龍神さまのもとで修業や奉仕活動をさせられる鹿子。龍神を見ることのできる後輩、行也が御使い2号に立候補し、痴漢退治などの「世直し」でのPR作戦が始まる。そして、ある青年の周辺で起こる事故を解決しようということになるのだが……。
 龍神といっても土地神のようなもので、そこらあたりのスケールの小ささが楽しいオカルト・コメディである。たいした事件が起こるわけでもなく、神様と主人公の関係もアットホームなムードがただよう。いわば、ホームドラマ的なおかしみである。
 まあ、それ以上のものを求めてもいけないだろうし、軽く読みながら楽しめばそれでいいことだろう。それでもあえて難を言えば、龍神さまが鹿子と行也だけに見えるのか、そういった細かい設定をもう少し補強しておかないと、シリーズとして続けていくうちに苦しくなるのではないかと感じた。平凡な女の子の身の上に突発的に起こる災難、だけではエピソードはそうたくさん作れないのではないだろうか。
 まあ、楽しい話には違いないし、こういうタイプの話は結構好きなので、次巻以降も楽しみにしている。

(2000年1月29日読了)


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