普通野球選手の本というと自伝的なものか暴露本みたいなものが多いが、本書は球史に残る大選手であった著者が長いプロ生活で出会ったプロ中のプロについて綴ったもの。打撃投手、トレーナー、スカウト、審判員なども多数とりあげられていて、名選手にばかりスポットの当たる類書とはかなり色合いの違うものとなっている。
著者の考える「プロフェッショナル」はその仕事に愛着と自信を持ち全力を尽くすものを指すことがよくわかる。打者のフォームを最も熟知しているのは、実は新聞社のカメラマンだと指摘し、積極的に協力を申し入れていたエピソードなど、超一流のプロならではの鋭い視点が光る。野球の見方がより深くなる一冊。多くの野球ファンに薦めたい。
(2000年2月3日読了)