〈死語〉というよりも各年ごとの流行語で現在あまり一般的に使われなくなった言葉に、著者独特の皮肉を込めた解説を付したもの。時代の空気を〈死語〉を通じてとらえる。単に流行語を追うだけなら類書はあまたあるが、あえて〈死語〉としてなぜ使われなくなったかなども含めた考察を加えて、移ろいやすい現代社会の様相をとらえた著者の目のつけどころのうまさは第1巻と同様である。
前巻と比べて特筆すべきは1999年という「現在」の流行語で「いずれ〈死語〉になる」と予想される言葉まで含めているところ。社会を見すえる著者の視点の確かさが試される部分であるが、なるほどと納得させられる。
この20年がとんでもない20年であったことが本書では明らかにされる。著者はそれに対してもなんともいえないやりきれなさをもっていることがわかる。読者も同じようにやりきれなくなる。
幾分不正確なところもあるけれど、言葉と社会に対する確かな感覚を味わいたい一冊である。前巻の「現代〈死語〉ノート」と合わせて読めば戦後史はほぼカバーできる。
(2000年2月16日読了)