読書感想文


キマイラ群狼変
キマイラ・吼シリーズ15
夢枕獏著
朝日ソノラマ文庫
2000年2月28日第1刷
定価476円

 2年ぶりのシリーズ第15弾。
 キマイラの謎を解くため、九鬼玄造がひもとく橘瑞超の「辺境覚書」。まだ、その話は続いている。本巻では、九鬼にキマイラの腕を渡した彼の師匠、馬垣勘九郎の物語と、そしてその父勘介の異種格闘技戦の模様が中心となっている。勘介を倒した王洪宝と勘九郎の決闘のさなか、とうとうキマイラが登場する。明治時代の中国大陸を舞台にしたエピソードはいよいよクライマックスに。
 本巻でも物語は現代には戻らず、それどころかまだまだ続くようである。本来なら「外伝」としてまとめたくなるようなエピソードだと思うのだが、作者の執筆ペースでいけば、本編と並行して外伝を書くことが不可能だということなのだろう。早く大鳳吼と九鬼麗一の物語に戻ってきてほしいのだが、「キマイラ」の謎をしっかりと解き明かし、一生かかっても書き続けると「あとがき」で作者がいうのだから、こちらも腹を決めてつきあっていくことにしよう。

(2000年3月4日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る