読書感想文


DADDY FACE
伊達将範著
メディアワークス電撃文庫
2000年3月25日第1刷
定価590円

 苦学生の草刈鷲士の前に、いきなり彼の娘と名乗る中学生の女の子、美沙が現れた。実は鷲士は施設に入っていた小学生時代に、施設から引き取られていく同級生の女の子と関係を持った過去があったのだ。美沙は12歳にして世界の通信網を牛耳る大会社のオーナーにして凄腕の宝探し、そして武器を自在に操るスーパーガールだった。その双子の弟は超能力を操る一族の後継者。彼らはかぐや姫伝説にまつわる不死の薬をめぐって「ミュージアム」という組織と激しい抗争を繰り広げる。
 かぐや姫伝説の解釈がなかなか面白い。ナノマシンなど流行のSFタームを扱い、「不死」に関する理屈など、実にうまく描いている。その部分については評価したい。
 問題は主人公たちの設定である。ここまでぶっ飛んだ設定だと、かえって絵空事として割り切って楽しむほかはないという気がする。この設定とかぐや姫伝説の部分がアンバランスなのが気になるところではあるが。
 ラヴコメ、伝奇アクション、美少女など若い読者が喜ぶ要素を詰め込めるだけ詰め込んだという感じ。そういう意味では、極めて「ヤングアダルト」ではあるな。

(2000年3月11日読了)


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