読書感想文


ミラクル・トライアングル
夜月桔梗著
角川ティーンズルビー文庫
2000年3月1日第1刷
定価419円

 超能力を持つ三つ子の兄弟が、Atom国のマッドサイエンティストにさらわれ、研究材料にされかける。博士の部下で、超能力者の細胞からクローン培養された香夜は、三つ子の一人、美沙と出会い、人間らしい感情を知り、彼らを助けることにする。
 三つ子が力を合わせて危機を脱する話かと思ったら、大人の手助けが入る。この事件で彼らがどのように成長したかは特に示されてはいない。マッドサイエンティストもどうもプロトタイプのように感じる。つまり作者は三つ子と香夜というキャラクターを書くことを楽しんでいる、という感じなのだ。
 もう少し事件にひねりがあれば、設定は面白いだけに、ちょっともったいない気がする。ストーリーがスーッと流れていってしまうのがいささか食い足りなかった。
 もっとも、キャラクターのやりとりだけを楽しみたいという読者層があるのなら、それ以上のものを求めてはいけないのだろうけれど。

(2000年3月11日読了)


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