超能力を持つ三つ子の兄弟が、Atom国のマッドサイエンティストにさらわれ、研究材料にされかける。博士の部下で、超能力者の細胞からクローン培養された香夜は、三つ子の一人、美沙と出会い、人間らしい感情を知り、彼らを助けることにする。
三つ子が力を合わせて危機を脱する話かと思ったら、大人の手助けが入る。この事件で彼らがどのように成長したかは特に示されてはいない。マッドサイエンティストもどうもプロトタイプのように感じる。つまり作者は三つ子と香夜というキャラクターを書くことを楽しんでいる、という感じなのだ。
もう少し事件にひねりがあれば、設定は面白いだけに、ちょっともったいない気がする。ストーリーがスーッと流れていってしまうのがいささか食い足りなかった。
もっとも、キャラクターのやりとりだけを楽しみたいという読者層があるのなら、それ以上のものを求めてはいけないのだろうけれど。
(2000年3月11日読了)