読書感想文


魔神を呼び出すドジ妖精
ラジカルあんてぃ〜く
清水文化著
富士見ファンタジア文庫
2000年1月25日第1刷
定価520円

 香田雪兎は大学生ながら古美術商の店長見習いができる目利きの上に、符呪を操る道士。幸福の女神が封じられている皿をつつむ結界を解き、女神を皿から出すという依頼を受ける。その皿を狙う「青幻」という組織の道士たちが現れた。彼のまわりには少妖精や精霊たちがついているが、彼女たちは足を引っ張ってばかり。雪兎は皿に封じられた女神をどうやって救い出すのか。
 眼鏡っ子をはじめとして、いろいろなタイプの女の子を出してドジなことをやらせて笑いをとろうという作者おなじみのパターン。本作では作者最大の武器である「気象」を使わずに書かれたものなので、これこそ実力をはかる機会と注目して読んだ。道士の術などは名前は陰陽道から借用しているものの作者の独創のものが多いように感じる。ならば、陰陽道の名は使わずにオリジナルの術にしてしまえばよかったのではないだろうか。誰も知らない幻の道術でいいから。
 術を繰り出すパターン、笑いの取り方などは「気象妖精」のシリーズと同じパターン。それならば気象の記述が正確である分、前のシリーズの方に軍配をあげねばなるまい。軸となるストーリーがないのが辛い。
 もっとも、キャラクターのやりとりだけを楽しみたいという読者層があるのなら、それ以上のものを求めてはいけないのだろうけれど。

(2000年3月13日読了)


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