新シリーズの開幕。
平凡で弱気な少年、拓郎は、祖父の遺産「仮面」を譲り受ける。そこへ襲いかかったのは「アラーニャ」と名乗る蜘蛛女。彼女は「蠅の王」の指令で拓郎から仮面を奪いに来たのだ。しかし、仮面を運んできた「仮面武闘者」たちは拓郎に仮面をかぶせ、彼も「仮面武闘者」となる。「仮面武闘者」は変身をして「蠅の王」たちの陰謀を阻止するために戦うのだ。
作者はおそらく変身ヒーローものをストレートに書きたかったのだろう。理屈抜きで「正義」を守る少年を主人公にしたヒーローを作り上げている。そういう意欲は十分に伝わるけれど、活字でこれをやられるとなんだか気恥ずかしくなってしまった。
作者もそうなのか、「仮面武闘者」たちがふだんは「変身ヒーローショー」のアトラクションをして生計を立てているという設定にしている。そこらあたりに作者の照れが見え隠れしているのは、ちょっと楽しい。
まあここまでストレートにしてもらえると文句のつけようはない。徹底的に勧善懲悪で悩みのないヒーロー群像を描いていってほしいものだ。
(2000年3月19日読了)