ある県のある小さな町の古い民家に住んでいる4人の姉妹。長女はクールな外科医。次女は無愛想なイラストレーター。三女は能天気な高校生。四女は魔性の小学生。実は彼女たちは本当の姉妹ではない。軌道の大きな惑星から脱出してきた宇宙人なのだ。彼女たちは地球人そっくりの姿形だが、実は格段に強いパワーを持っている。
主人公は三女の結里。彼女は交通事故に遭いかけた子どもを救うために、ついうっかりそのパワーを使ってしまう。子どもと一緒に助けられたハンサムだが変人で知られる嵯峨という同級生が、結里とつきあいたいと言ってきた。彼に少しずつ惹かれていく結里は、自分の本当のパワーを知られたらきっと嫌われると思いこみ、つい彼につれなくしてしまう。
デートに誘われた遊園地で、彼女たちと同じ力を発揮した者の仕業と思われる破壊事件が起こり、パワーをコントロールできない仲間がいるのではと考えた姉妹は遊園地に急行する。その犯人を捕まえるにはパワーを使わなければならない。しかし、それを嵯峨には見られたくない。悩む結里だが……。
骨格はかなり古いタイプの少女漫画によく見られる恋愛ものであるが、そこに宇宙人などの要素を入れてよりファンタスティックにしてあるという感じ。SFとして読むと矛盾も多く、特に目新しい部分もない。しかし、四姉妹のキャラクター設定などがよくできている上に、主人公の心の揺らぎなどを丁寧に描いているので、割と楽しく読めた。
ありのままの自分を知ってもらおう、飾ってはいけない、というようなメッセージがはっきりしている。いわゆる「癒し系」タイプの小説といえるだろう。アクションシーンもユーモラスで、全体にほんわかとしたムードがただよい、好感が持てた。
小説としての完成度は高いとはいえないが、作者の意図がよく伝わってくる話なので、多少の矛盾には目をつぶってもいいかと思わせる強みがある。
(2000年4月11日読了)