6年連続首位打者のイチロー、王からただ一人本塁打王のタイトルを奪い取った田淵幸一、両リーグでそれぞれ1000本の安打を放った大杉勝男、33試合連続安打の高橋慶彦、シーズン最高打率を記録したランディ・パース、3度の三冠王に輝く落合博満、シーズン最多奪三振の江夏豊、400勝投手の金田正一、年間最高防御率0.98の村山実など、球史を彩る名選手が獲得した”勲章”にまつわるエピソードを、おなじみ近藤節で綴った最新書き下ろし。
近藤節の魅力は、何の関係もない事柄をただ一つの共通点で結びつけ、そこから強引に「野球」と「人生」の物語を語っていくところにある。本書では、スピード出世の北の湖とスロー出世の貴ノ嶺の話を引き合いに出してから、年俸1億円に達成した2人の選手、高橋由伸と村田真一の野球人生について語るところなど、その真骨頂である。
著者の野球物語は、正直言って古くさい。例えばイチローについて語るときなど、はっきりと違和感があったりする。しかし、クールな「野球ノンフィクション」が主流となっている今、このように熱く熱く野球を語る書き手もいなければ、と思う。
ただ、ここのところ名選手、大選手について書くことの多い著者だけに、そろそろ華やかな舞台の影にひっそりと登場する脇役のエピソードを集めたものを再び書いてほしいものである。
(2000年4月12日読了)