似顔絵の名人戯れ絵師、山藤章二による似顔絵論。
似顔絵は批評であり自己表現の一つであるという持論を、自作や「週刊朝日」の似顔絵塾のメンバーによる作品を紹介しつつ、わかりやすくかみくだき、かつ鋭く論じる。モデルにただ似せただけでは面白くないというポリシーは、著者のデビュー以来のエピソードや実例から十分に伝わってくる。
似顔絵をモチーフに、批評とはなにか、風刺とはなにかを掘り下げていっている。そういう意味では本書は実にユニークな文化論であろう。
一枚の似顔絵にこめられたメッセージの雄弁さに触れるとき、視覚効果の強さつくづく思い知らされるのである。
(2000年5月23日読了)