読書感想文


ジュブナイル
山崎貴著
メディアファクトリージュブナイル文庫
2000年7月1日第1刷
定価580円

 同名映画のノヴェライゼーション。ただし、映画の監督自らが小説化している。
 主人公の小学生、祐介は友だちと行ったキャンプで小さな丸いロボットを見つける。「テトラ」と自称するロボットは、祐介の提供する材料を使って自分をパワーアップしていく。友だちの女の子、岬のお姉さんに化けた謎の怪人が現れて怪しい装置を使い海の水を異星に送ろうとしていることがわかった。岬を人質に取られた祐介は、テトラとともに助け出しにいく。テトラはいったいどこから来たのか。祐介は岬を助けられるのか……。
 タイトルが示すとおり、古典的なジュヴナイルSFを復刻したような形の物語。装画なども児童書の体裁を模している。「児童向けSF」という言葉そのままの内容である。テーマもストーリーも実にストレート。ひねりのないのが物足りなくもあるが、作者自身があえて古典的なスタイルを目指していると考えられるので、その点では作者の意図どおりのものに仕上がっているといえるだろう。ただ、現在の若い読者層にそれがわかってもらえるかどうか。
 女の子を意識し始めた少年の心情など、甘酸っぱくも照れくさい。映像にしたら、また違う印象を与えるのかもしれない。

(2000年7月9日読了)


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