読書感想文


フリーメイスンとモーツァルト
茅田俊一著
講談社現代新書
1997年8月20日第1刷
定価700円

 モーツァルトがフリーメイスンリーの一員であったことはよく知られている。本書は彼が入会していた当時のフリーメイスンリーの状況や、彼がメイスンとなった理由、彼がメイスンとして求めたものなどを示している。18世紀のヨーロッパ史を背景に、フリーメイスンリーがどのような形でその勢いを広げていったのか、そして、その理想をモーツァルトは自分の作曲した音楽にどのような形で暗示させていったのかなど、史料で正確に示されたもののみをもとに、丁寧な解析が行われている。
 一人の作曲家の精神史をたどることにより、18世紀ヨーロッパの思想史をあぶり出していく好著である。
 本書で触れられているモーツァルトの曲のハイライトCDなんかが付録としてついていたらより興味深く読めたのだけれど、新書でそこまでは無理か。

(2000年7月15日読了)


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